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海外学術情報の権利処理で、申請そのものより前に大切だと感じてきたこと

yf-iwasaki50
9月11日
読了時間: 3分

私は30年以上にわたり、海外学術出版、電子ジャーナル、医学・医療情報の分野に携わってきました。

前回は、その中で海外の学術出版社や国際学会と、日本で学術情報を利用する方々との間に立つ仕事を続けてきた中で感じたことについて書きました。


今回は、その仕事の中でも、海外学術情報の権利処理について、長年の実務を通じて大切だと感じてきたことを書いてみたいと思います。

それは、申請を急ぐことより、まず海外での権利関係と利用条件を正確に確認することが大切だということです。

論文や図表、臨床例、ガイドライン等を企業で二次利用する場合、まず確認しなければならないのは、「現在の権利保持者は誰なのか」「そのタイトルにはどのような利用条件が適用されているのか」ということです。

一見すると、出版社へPermission Requestを提出すれば進むように思える案件でも、実際にはそう単純ではない場合があります。

以前、許諾を得ようとした出版物について調査を始めたところ、もともとの権利元であった出版社そのものが、すでに存在していない案件がありました。

そこで、過去の出版経緯や権利関係を遡って確認していく必要が生じました。

調査の結果、稀にですが権利がすでに放棄されていることが確認できるケースもあれば、別の出版社や権利保持者へ譲渡されており、新しい権利保持者を特定した上で、改めて確認や交渉を始めなければならないケースもあります。

こうした案件では、権利関係が明確になるまでに、約1か月半を要した案件もありました。

その間、依頼者に単に「調査中です」とお伝えするだけでは十分ではありません。

私は海外の関係先に国際電話やメールで確認しながら、

「ここまで確認できたこと」「現在まだ確認できていないこと」「次に何を調査するのか」

を整理し、週単位で報告するようにしてきました。

重要なのは、確認できた事実と、まだ確認できていないことを混同しないことです。

事実を一つずつ積み重ねていくことで、依頼者にも「なぜ時間が必要なのか」を理解していただけるようになります。

また私は、出版社名だけで一律に考えるのではなく、対象となる個々のジャーナルや出版物について、Permission Policyや利用細則を確認することを大切にしてきました。

同じ出版社から刊行されているものであっても、タイトルの歴史や権利関係などによって、利用条件が異なる場合があるからです。

その上で必要な事項を整理し、すべての案件について海外の出版社、国際学会等の権利保持者へ照会し、利用条件を確認していきます。


長年この仕事を続けてきて感じるのは、権利処理における信頼とは、単に早く回答を得ることだけではないということです。

何が確認できていて、何がまだ確認できていないのかを正確に把握し、それを利用者にきちんと伝えること。

一見遠回りに見えても、その確認を曖昧にしたまま先へ進まないことが、結果として利用者と権利保持者の双方を守ることにつながると考えています。

Originally published on LinkedIn Series #12

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