「無料で読める」ことと「自由に使える」ことは、同じとはいえません。

インターネット上で無料で読むことができる情報を見ると、私たちはつい「自由に使える」と考えてしまうことがあります。
しかし、無料でアクセスできることと、その内容を自由に再利用できることは、必ずしも同じではありません。
Open Accessという考え方が広がり始めた当時、学術情報の流通や利用の現場では、それまでの購読を前提とした仕組みとは大きく異なるものとして受け止められました。
現在ではOpen Accessは広く定着しましたが、学術情報のすべてが無料で提供されているわけではありません。今も、大学、研究機関、企業などが定期購読料を支払って専門誌や学会誌を購読したり、必要な文献を個別に購入したりする形は広く続いています。
ここで、学術情報の提供形態について少し整理しておきたいと思います。
専門誌、学会誌、国際会議録、学術書籍、国際規格、各種規則集など、広く公に刊行・公表されているものがあります。これらは、いわゆる「公知文献」と称されている文献です。
そしてまた、このような公知文献のすべてが、インターネット上で無料で全文を読むことができるわけではありません。
Open Accessは、こうした学術情報が提供される一つの形です。
Open Accessによって、以前であれば購読契約や個別購入を必要とした学術情報にも、より広くアクセスできる機会が生まれてきました。
Open Accessが学術情報の流通に果たしてきた役割は、非常に大きいものがあります。
しかしながら、Open Accessとして提供されている文献であっても、どのような形で再利用できるかは一律ではありません。
ここでは、特に企業における学術情報の利用を前提として考えてみます。
例えば、図や表を別の資料に掲載する、文章の一部を転載する、翻訳し配布する、教育・研修資料や企業内資料に組み込む、ウェブサイトやデジタル媒体で利用するといった場合です。
こうした利用については、その文献に定められている使用規定や利用細則を確認する必要があります。
現在では、検索すれば多くの情報が瞬時に見つかります。そのため、必要な情報のほとんどがインターネット上にあり、しかも自由に利用できるように感じることもあります。
しかし、学術情報の世界では、
情報が公に存在していること。その情報にアクセスできること。そして、その情報を再利用できること。
これらは、それぞれ別のこととして考える必要があります。
Open Accessであるかどうかだけではなく、どのような条件のもとで提供され、どのような利用が認められているのか。
そこまで確認することが、学術情報を適切に利用するための基本の一つです。
Originally published on LinkedIn Series #16




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